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Case.07 口は禍の元とは言うけれど

Author: 涼風紫音
last update Huling Na-update: 2025-10-22 20:05:42

ザ・辺境から中央に戻ってきて美味を堪能していたところで、ある一つの依頼が転写魔法で舞い込んできたのだった。

 依頼内容は……、これは私がやらないと駄目なやつよね。速攻で依頼承諾の魔術サインを入れて一件受領、と。

 いまこの国はお隣の国と戦争するかしないかで大いに揉めている。どちらの国も代替わりした直後。誰もがわかるような形で「俺様は統治者として相応しい」と示したい、そんな動機がどちらの国にもある。王様も大変ね。

 依頼というのはほかでもない、お隣の国のとある劇作家が書いた演目が大当たりしたらしいのだけど、そこに触れて欲しくないというか、絶対秘密の話が書かれているとかいないとか。

 それはこの国の新王が、実は先代の正嫡ではなく庶子で弟の公爵こそ本来の正嫡なのだというお話。おとぎ話にもなりそうなありふれた話。とてもつまらない話。そんな話でもこの国では大騒ぎで、新王はこの秘密をどうあっても葬りさりたい。話の出元も探りたいけどまずは鎮火してこいということで、哀れ劇作家への暗殺依頼と相成りましたとさ。

 人間同士のいざこざには興味ない私でも、この依頼だけは是が非でも受けておく必要があった。私にしては珍しく、とてもノリノリでやる気なのだ。

 いやぁ、口は禍の元とはよく言ったものね。この場合は戯曲だから指かしら? まあ細かいことはどうでも良し、と。

 話の筋が見えない? これはとっても簡単なお話。だってその秘密を····教えてあげたの、私なんだもの。スパイをやっていれば秘密なんていくつもあるし、こっちの国とあっちの国のどちらでもスパイで通っている私にかかれば、そんなものは一、二、大惨事ってな具合。

 もちろんそんな秘密を洩らしたのは誰かといえば、他ならない新王自身なのだ。他の依頼をする際、警護の兵も一人残らず人払いして私とたった二人になった当時の皇太子様は、それはもう私の美しさにメロメロで喋る喋る。あんなに口が軽い皇太子なんて見たことないってくらいよく喋った。その結果がこれ。スパイ相手にべらべら余計なこと喋るからこうなるんですよ? 新王様☆

 そんなこんなでお隣へちょいと暗殺しに行くことになったのだけど、二つの国は戦争するかしないかで大騒ぎしているわけで、大義名分として相手の王室への表向き友好の証としての献上品を運ぶことにしましょうと私から持ち掛けて、無事運び屋の依頼もゲット。チョロいわ~。人間チョロいわ~。私のお財布が感謝してるわよ~。

     ◇◆◇

 献上品を持参して国境のいかつい警備の兵士たちを難なくパスした私は(もっともそんなもの無くてもこの美貌で何人でも落とせるのだけど)、一路目的の王宮へ。

 持ってきたのはちょっとした宝玉の類いだけど、もちろん私はスパイなのだ。依頼してきた国の機密情報は他にもあるわけで、ちょちょっとこちらの新王にも囁いてあげたのだ。えらいぞ私。できるぞ私。自分で褒めて伸びるタイプです、私。

 相手の国は正統な王位を巡って弟の公爵が着々と反乱の準備をしていたので、それを教えてあげました。攻めるなら絶好のタイミング。いやぁ、情報が高く売れるというだけでスパイ冥利に尽きますね。

 それも日々この美しい赤毛に端麗な顔、ナイスバディを見せつけて上目遣いに「お・し・え・て☆」とやり続けているからこそ。日頃の努力が役に立つのだ。良い子のみんな、私くらい突き抜けて美しければ真似しなさいね?

 王宮で無事運び屋とスパイ(二重)の仕事を終えた私は、今度は戯曲家の私邸へレッツゴー。善は急げって言うしね。急ぎましょ。

 なんでも最近スランプなんだとか。可哀想に。本当に可哀想。私が········秘密の話を使って書いた戯曲が大当たりして目をつけられて、その後でスランプになっちゃうなんて。

 面白い話のネタなんてそうそう転がってないのだから、仕方ないわね。ちゃんと楽にしてあげなきゃ。人助けだわ、これ。うん。絶対そう。私がそう思うのだからそうに違いない。世界は私を中心に回っているのだから、そういうことにしましょう。

     ◇◆◇

 やってきました戯曲家レイラさんのご自宅。当たった演目のおかげか、 物書きにしてはちょっとハイグレードな家だこと。こんな家に住めるなんて、私がいなきゃ無理でしょ。少しは感謝してもらわなきゃ。殺しちゃうんだけど。

 ちょっと高級な住宅街の暗殺はとにかく静かにやること。騒ぎになっちゃうと逃げるのが面倒だしね。私は堂々と歩いてその場を去るタイプ。そうできないこともあるけど、できるだけそうする。見栄えは大事だからね?

 堂々とノック。そう、正面玄関から正直にご挨拶。出てきたレイラさんはスランプで悩んでいるのか隈だらけの顔だったけど、私を一目見て瞳が一瞬で輝くのがわかる。そりゃそうよね。悩んでいる時にあらわれる女神=私なんて美しく見えないわけがない。

 首尾よく自宅に招き入れられ、そこから私はとっておきのエルフの昔話をしてあげた。少しだけ面白おかしくアレンジして。

 もう憑りつかれたように猛烈な勢いで羊皮紙に向かって戯曲を書き始めたので、歌うようにお話を聞かせながら、そっと近づいて首にひょいっとロープを渡してきゅっとして一件落着。

 一人の悩める戯曲家を救ってあげた私。無事暗殺の依頼も達成、と。

 さて今度は戻って弟の公爵に「あなたの反乱バレバレですよー」と教えてあげないと。公爵のスパイもやっているからね、私。お仕事頑張らなきゃ。また世が荒れて稼ぎの季節がやってくるわ~。

◆◇ 秋蛍の月、三日の日記 ◇◆

 正嫡だ庶子だ、人間って面倒くさい生き物ね。細かいことに拘り過ぎるから争いが無くならない。稼ぎ時はいつだってやってくるから、日ごろの行いって大事。

 そうそう、運よく弟の公爵が反乱に成功したら、今度はあなたのお母さんは本当は別人なんですよという話を、さて一体どちらの国に売りつけるべきか。高値をつけるのはどちらなのかよく考えること。これも公爵自身が喋った話なので(酔い過ぎて忘れてるはず)、本当にお酒って怖い。あら、報酬でもらったこのワイン、案外いけるじゃん。やったね。これからもどんどん稼がなきゃ☆

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